先日、手がけていたプロジェクトの要件定義の承認を頂き、設計に本格着手しました。
と書くといかにも格好がよいですね。
でも、実は、要件定義はSIerの力だけでやるものではありません。
今回のドキュメント"要件定義書"は確かに私が書かせて頂いたのですが、
内容はプロフェッショナルであるお客様の考え方そのものが反映されています。
あとは、実現方式を考え、提案内容を記述し、繰り返し打ち合わせをして
仕上げているのです。
どんなに業務知識を勉強しても、その道のプロフェッショナルであるお客様には
かなわないものです。
では、SIerのあるべき要件定義での立ち位置とSIerの仕事価値は
どこにあるのでしょうか。
大手のシステム開発会社でも要件定義の苦手な会社は多いようです。
理由は簡単です。システムを開発することに注力して要件を決定しようとしてしまうのです。
なかなか難しいことではあるのですが、
お客様の企業そのものの視点で、要件定義に協力して頂けるお客様(ご担当者様)と
自分を俯瞰的に見て、要件定義作業を進めるのが正しい姿なのだと思います。
この場合、俯瞰的に見た時の小さな自分はアーキテクトの位置づけです。
お客様の意思をドキュメントに明確化しながら、実現方式設計の能力を提供します。
また別の視点では、ディレクター(お客様の主となるご担当者様)の補佐でもあります。
しかもこれは優秀な補佐であることが要求されます。
お客様の立場で考えた予算感とスピード感でシステム像を探るのです。
要件定義はプロフェッショナル(お客様)が満足するだけの
システムのあるべき姿を導き出していく仕事なのです。
予算感とスピード感を考えて着実に実現可能なシステム像を探るところは、
まさに多数のシステム提案・開発経験がものをいう部分で、
同時にSIerの価値の1つなのだと思います。
要件定義。
上流工程の堅苦しい仕事に感じるかとも思いますが、
実はお客様とビジネスの価値を共有できるとても幸せで充実感のある仕事なのでした。
補足:要件定義とは
経営課題・業務課題を解決するための、
実現可能なシステムの仕様・範囲・機能などを明確にすること。
要件定義の必須事項は少なくとも次の3点です。
・業務システムの仕様を決める。
・システム化範囲と機能を具体的に決める。
・システムに対する制約条件を明らかにする。
この要件定義の成果物である要件定義書は、
システム開発の全フェーズに対してのバイブルとすべきドキュメントになります。
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