株式会社ニッセン 様
マーケティング本部 WEBサイト統括部
藤田 健氏
着せ替えアプリの認知拡大をめざし、Twitter連携機能を実装。ユーザビリティの実現とコミュニケーションの仕組み作りにこだわりました。
株式会社ニッセンでは、2011年7月、ショッピングサイト『ニッセンオンライン』内のバーチャルコーディネートルームに、着せ替えアプリとTwitterとの連携機能を実装して提供を開始しました。開発に携わったマーケティング本部WEBサイト統括部・藤田氏に開発の経緯を伺いました。
<株式会社ニッセンについて>
創業40年の歴史を持つ国内カタログ通信販売業界の老舗。いち早い海外SPAの展開や2,800万件に及ぶ顧客データベースの構築と詳細な分析によるOneToOne戦略(それぞれのお客様に適した商品やサービスの提供)など、常にチャレンジングなビジネス展開 で業界を牽引し続けている。インターネット通販にもいち早く取り組み、2001年にスタートしたモバイルコマースでは、通販業界No.1のポジションを確立している。 創業:1970年 売上高:1,297億円(2009年12月期) 本社所在地:京都市。
<バーチャルコーディネートルームについて>
株式会社ニッセンが運営するショッピングサイト『ニッセンオンライン』のサービス。同サイトに掲載されているアイテムを、着せ替えアプリ(iPhone/iPadアプリ、PC版のFlashアプリ)を使って自由に組み合わせ、コーディネート例を確かめながらショッピングが出来る。作成したコーディネートの画面からは、そのコーディネートに使用したアイテムのセット注文が可能。さらに、Twitterと連携した投稿・投票機能が実装されている。
開発と運営を担当するのはマーケティング本部 WEBサイト統括部。『ニッセンオンライン』携帯版、スマートフォン版の開発・運営およびスマートフォン・アプリの企画・開発を行う。バーチャルコーディネートルームでは、アプリ開発に絡みPC版も含め全体を担当している。
- マッシュアップ
- OAuth認証
- XAuth認証
- bit.ly
- iPhone,iPad-Web連携
- FLASH-Web連携
- パブリッククラウド
◆弊社担当範囲
- 全体のアーキテクチャ(実装方式)の設計
- パブリッククラウド上の動作環境構築
- Webモジュールの開発
既存の着せ替えアプリとTwitterとの連携機能の実装
――今回、コンポーネントデザインが開発に携わった着せ替えアプリとTwitterとの連携機能
というのは、具体的にはどのような機能ですか。
着せ替えアプリで作成したコーディネートをTwitterに投稿する機能、投稿されたコーディネートへの投票機能、キャンペーン管理機能、以上3つの機能です。
投稿機能では、着せ替えアプリのユーザーは、作成したコーディネートをTwitter上で紹介することが出来ます。投票機能は、投稿に貼られた短縮URLを辿ってコーディネートページにアクセスしたユーザーが、それを気に入ったら「オススメ」としてツイートできる機能です。投稿・投票は、Twitterのアカウントがあれば、認証を経て簡単にご利用いただけます。 キャンペーン管理機能は、投稿・投票機能を使って開催するキャンペーンを管理・運営するための機能です。現在開催しているキャンペーンは、弊社が設定したテーマに沿って、コーディネートを投稿していただくものが中心です。期間を区切ってコーディネートのテーマを設定し、そこで投稿していただいたユーザーの中から抽選で当選者を選び、弊社のお買物券をプレゼントさせていただいています。キャンペーン管理機能では、テーマや開催期間の設定、テーマごとに投稿していただいたユーザーのアカウントのトレース、投稿に対する投票数の集計が出来ます。
Twitterとの連携でアプリの認知拡大、受注拡大を目指した
――Twitterとの連携には、どのような目的がおありだったのでしょうか。
主な目的は、着せ替えアプリの認知拡大です。情報が拡散するTwitterの特性を生かし、新たなユーザーを獲得することを目指し、開発しました。Twitter連携によって認知を拡大出来れば、新たな受注機会の創出も見込めます。
もともと着せ替えアプリは、従来、お客様から多数寄せられていた「試着したい」「もっとたくさんのコーディネート例が見たい」といったご要望にお応えするために開発したものです。不足する情報を補完することで、より安心してショッピングしていただくことが可能となります。リカちゃん人形に対する世代を超えた人気を考慮すると、企画が生まれた時点で『ニッセンオンライン』のメインターゲット層である女性の支持を得られることが見込まれました。
実際に着せ替えアプリの提供を開始すると、国内のサービスとしては前例がなかったこともあり、ご好評を得ることが出来ました。
一方、女性の消費行動に対する口コミの影響力や、SNSブームの動向から、「作ったコーディネートを皆に見せたい、共有したい」というニーズも予測できました。着せ替えアプリで作成したコーディネートを不特定多数の消費者に拡散することができれば、よりユーザーニーズを満たせる上に、アプリの認知拡大および受注拡大にも繋げられます。
さらに、着せ替えアプリで作成されたコーディネートのデータは、商品ページ上に表示させるなどプロモーション素材として活用することも可能です。
お客様のご要望にお応えして作った着せ替えアプリをより多くのお客様にご活用いただき、『ニッセンオンライン』でのショッピングを今まで以上に楽しんでいただける方法としてTwitterとの連携機能を実装しました。
ユーザビリティの実現とコミュニケーションの仕組みづくりに重点
――Twitter連携機能を実装するにあたって、どのような点に気を配られましたか。
ユーザビリティの実現と、コミュニケーションの仕組みづくりです。
社内で検討を始めた当初は、Twitter連携を具体的にイメージしていたわけではありませんでした。"着せ替えアプリで作成したコーディネートを拡散する仕組み"という命題を、いかに実現するかを検討する中で、お客様にとっての使いやすさを追求した結果、Twitterとの連携という答えにたどり着いたのです。
Twitterは2009年頃から、国内でも爆発的にユーザー数を増やして来ました。それと並行して、Twitterのマッシュアップサービスのリリースが徐々に目立ち始めていました。私たちはそこに着目しました。
Twitterのユーザーには、『ニッセンオンライン』のターゲットである20~30代の女性もかなりの数がいらっしゃいます。Twitterアカウントを持ってさえいれば、すぐに投稿・投票できる仕組みを作れば、拡散のスピードも格段に速くなると考えました。
――『ニッセンオンライン』のご利用経験がないユーザー様にもアプローチができますね。
そうです。
ただ、そこで熟慮したのは、画面遷移のユーザビリティの実現と、キャンペーンに参加していただいたユーザー様とのコミュニケーションの仕組み作りについてです。
弊社としては、自社サイトと外部サービスの間を行ったり来たりしていただく中で、ストレスなく使っていただきながら、なおかつ無理なく自社サイトに戻って来てショッピングコンテンツを楽しんでいただきたいと考えました。
着せ替えアプリでコーディネートを作成して保存した後、そのコーディネートページへのリンクを張った記事を投稿するフローや、投稿中のリンクを辿ってコーディネートページへアクセスし、さらにオススメとしてツイートするまでのフローを、途中で立ち上がるTwitterの認証画面も含めて、いかにストレスなく行うことが出来るか。PCとスマートフォンというデバイスの違いも考慮しながら慎重に検討を重ね、現在のフローが出来上がりました。
さらに、バーチャルコーディネートルームのキャンペーンは、弊社が予め顧客情報を持っているユーザー様を対象としたものではないため、ご参加いただいたユーザー様と自然な流れでコミュニケーションが出来る仕組みを作る必要がありました。そこで、投稿していただいたユーザー様のTwitterアカウントをトレースできる機能を実装しました。また、当選者にダイレクトにアプローチすることを可能とするために、キャンペーンにご参加いただく際には、バーチャルコーディネートルームのTwitterアカウントをフォローして頂くようお願いしています。
3社の連携で進んだ開発プロジェクト
――今回のプロジェクトは、どのような体制で行われたのですか。
まず、弊社が企画・要件定義を行い、それ以降はコンポーネントデザインが主体となり、既存の着せ替えアプリの開発会社と連携しながら開発を進めました。既存アプリの開発会社には、既存機能の強化と今回開発した投稿・投票用のWebモジュールへの対応を担当して頂きました。
今回は、前例が少ないシステムを複数の開発会社で連携して開発するプロジェクトだったのですが、キックオフミーティングをはじめとして3社間で密に連携することで、プロジェクトはスムーズに進行することができました。コンポーネントデザインは、常に迅速かつ柔軟な対応で、京都と東京という距離を感じることもなく、発注者として大変やりやすかったですね。
Twitter連携実装による成果と、バーチャルコーディネートルーム今後の展開
――今後のバーチャルコーディネートルームに関する展開をお聞かせ願えますか?
Twitter連携機能を実装して約4か月、実際に使っていただいたユーザー様から、まずまずの手応えがつかめています。キャンペーンに関するお問合せも増えていますし、人気のあったコーディネートをショッピングページに掲載した際の反応も良いですね。
バーチャルコーディネートルームを今後もより多くのユーザー様にご利用いただけるよう、新しい機能を追加するなどして、さらに魅力あるサービスへと育てて行きたいと考えています。
企業プロフィール 社名: 株式会社ニッセン 設立: 1970年 資本金: 1億円 売上高: 1,297億円(2009年12月期) 所在: 京都市 |